暑い日が続き、こどもとお散歩もできずじまいの毎日です。
猛暑による脱水症状もさることながら、昔よりもずいぶんときつくなった紫外線にも要注意です。
三歳になったばかりのでまだ小さい娘にアスファルトの照り返しは厳しく、カンカン照りの日は心配です。
そんな日々の中、私達が楽しみにしているのは、「雨の日」です。

朝から降っている時はもちろん、夕立やにわか雨になると、私達親子は傘を持って外に飛び出します。
夏の青々とした綺麗な草花や、アスファルトのしんなりと湿った匂い。いつもよりなんだか近く感じる電車の音・・。
嬉しそうにゲコゲコと鳴くカエルや、昨日まで乾いていたのに、ちょろちょろと心地よい音楽のように流れる小川。
瓦を伝って流れ落ちる雫。大きな大きな水溜りと赤ちゃんみたいに小さな水溜り。
風鈴がちりりとかすかに聞こえ・・。
　いつもと違う風景に、娘は目を輝かせて、「あれは？」、「これは？」、「どうして？」を繰り返します。
誰もいない田圃や更地の広がる新興住宅の予定地。まるで世界が私達だけのような気がして、
私と娘は、いつもよりちょっぴり大きな声で、手をつないで歌いながら行きます。
昔の歌ばかり歌う私に、「それは何の歌？」と必ず聞く娘。
難しい言葉をやさしい言葉に変換して、私達だけの歌として教えます。
いつか、「全然歌詞が違うじゃない!」、「曲名が違うじゃない!」と怒られるかな？

サーモポットには、温かいルイボスティーを入れています。
屋根のある公園のベンチに腰掛けて、携帯用コップにトクトクトク。
「はあーっ極楽じゃ」。どこかで覚えた言葉を使う娘が、可愛くて、愛しくて。
屋根をしたたり、水溜りにぽちぽちと落ちる雫に耳を澄ましていると、「なんだか眠くなっちゃった」。そんな言葉がどちらかともなく口から出ます。
微笑みあって、もたれあって、同じテンポであくび。
「まるで、雨の毛布に包まっているみたいね」。
娘がずっと幸せでありますように。
雨は、そんな神聖な祈りも運んできてくれるのです。
「生まれてきてくれて、ありがとうね」
「はーい!」
娘は嬉しそうに笑います。